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経済・産業に関する解説集

1.新車購入のローン利用率が2007年までに50%に上昇する見通し

今年3月、マーケティング会社「DISCOVERY Research Group」が実施した調査によると、新車購入時の自動車ローンの利用者が急増しており、少なくとも2010年までこのテンポで利用者が増える見通しである。ロシアの自動車ローンの金利は外貨建てで9%〜14%、ルーブル建てでは12%〜19%とかなり高い。融資の条件はどの銀行でも大差はないため、サービス面での競争が起きている。たとえば、利用資格の緩和、返済期間の延長拡大などだが、顧客獲得をねらって、さらなる、審査期間の短縮、頭金不要、金利なし、買戻しや下取りなどのサービスを打ち出したところもある。

現在、新車購入のローン利用率は30%だが、2007年までに約50%近くにまで増えると予想されており、ローンの普及が、新車のさらなる販売増加を招きそうである。

2.“担ぎや”稼業が窮地に、無税で持ち込める手荷物は35kgに制限

ロシア国外から無税で商品を持ち込み、国内で販売する“担ぎや”稼業がいよいよ窮地に追い込まれている。2月26日から自然人が国外から無税で持ち込める手荷物の重量の上限が50kgから35kgに引き下げられた。また、これと同時に、無税で“手荷物”を持ち込めるのは、頻繁に渡航する場合、これまでは1週間に1回とされていたが、1ヵ月間に1回に改められた。無税で持ち込める手荷物の価額の上限については、変更はなく、これまでと同じく6万5000ルーブルである。この価額制限は越えないが、重量制限を超える200kgまでの手荷物については、通関価額の30%の関税が徴収される。

経済発展貿易省によると、“担ぎや”によって持ち込まれる商品は年間6万トンから8万トン、総額にすると6億から8億ドルにも相当すると試算されている。今回の法改正の狙いはペレストロイカ以後約20年近く続いた“担ぎや”稼業を根絶し、正規の貿易を増やすことである。担ぎやによって持ち込まれている衣料品、皮革製品、靴などの持ち込みは20%程度落ち込み、ロシア国内の市場(ルイノク)での価格は30%から高いものでは50%程度値上がりすると予測されている。

今回の上限引き下げに加えて、2007年1月からは無税となる通関価額の上限が現行の6万5000ルーブル(約26万円)から、1万5000ルーブル(約6万円)に引き下げられることもほぼ確実となっている。

3.アムール造船所がロシア海軍からコルベット建造を受注

プリムメディア通信によると、アムール造船所は、ロシア海軍からコルベット(排水量1000トン前後の軍用小型艦)の建造昨年末に実施された競争入札の結果、受注した。造船所には、これまでコルベットを建造した実績はないが、最低でも10隻は建造することになった。アムール造船所で建造されるコルベットは、近海での対艦・対潜哨戒任務に当たるが、小口径の砲やミサイルも装備する。ハバロフスクのラジオ局「ボストク・ロシア」によると、アムール造船所がロシア海軍から造船を受注するのは約20年ぶりのことだという。

4.木材の違法伐採量は合法的な伐採量の約8倍との報告

衛星写真や航空写真による森林のモニタリング調査で、アルハンゲリスク州、イルクーツク州、クラスノヤルスク州、沿海地方およびハバロフスク地方で違法な森林伐採が確認され、盗伐された木材は76万3000?に及び、ロシア全体の合法的な木材伐採量は9万6000?で、この8倍近い量になっていることが明らかにされた。

PrimaMedia通信によると、ロシアで違法伐採された木材は1992年と比べると2倍以上に増えており、その被害額は年間50億ルーブルに相当すると見積もられている。今年から航空機や衛星写真を用いたモニタリング方法が導入され、5300万ヘクタールの森林が常時監視されているが、違法伐採は依然として深刻な問題となっている。

5.ボストチヌイ港で「構成部品」輸入されようとしたランクルが見つかる

極東税関の税関ポスト「海洋港ボストチヌイ」に10月初めに神戸港からボストチヌイ港に到着した「SKY TREASURE」号の個人事業主宛のコンテナ貨物から、トヨタ・ランドクルーザーの部品一式が見つかった。税関は、関税を低く抑えるために、日本で分解して通関しようとした部品の一部と断定し、捜査を開始した。

ナホトカ税関広報の発表によると、このコンテナで申告されていたのは、1998年製の白のランドクルーザーの部品で、ボディ(ライト、窓ガラス、シート、ラジエーター、マフラーは装備、動力およびステアリング部分、トランスミッション、シャーシは含まれず)、ならびに、中古のCDプレイヤーで、通関申告価額は4万4852ルーブル(約17万9408円)であった。

税関職員がコンテナ内を調べたところ、同じく1998年製の白のランドクルーザーのガソリン車のエンジンやボンネット、バンパー、ラジエーター、前後のドア、予備のタイヤなど申告書に記載されていない部品が、車内に積まれているのが見つかった。税関は、この個人事業主が不正申告で、65万ルーブル(約260万円)近い関税などの支払いを免れようとしたと見ており、行政法違反で詳しく捜査している。

6.ロシアの携帯電話加入者数の不思議

ロシアでは携帯電話の加入者数が、全人口を上回るほどの高い普及率となっている。ただし、モスクワやサンクトペテルブルグなど大都市の加入者数が圧倒的に多く、普及率は150%近くにまで達する一方で、地方都市や農村部での普及率は比較的低い。また、1人が複数のSIMカード(携帯電話用のICカード)を持つ場合が多いなど、普及率が高いことが、必ずしも、携帯電話市場の成熟度を示す指標とは言えない。

ロシアの場合、加入者数=有効SIMカード数である。GSM方式では、相手先に応じてその都度SIMカードを入れ替えすることで、料金を低く抑えることも可能なため、一人が複数のSIMカードを持つのが一般的である。ロシアではプリペイドユーザーが大半を占め、SIMカードを所有しても、月額の基本料金はほぼ無料である。したがって、有効SIMカード数が、実際に携帯電話を利用している人の数よりも多くなり、統計上の普及率が高くなるようである。

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