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ウラジオ短信

電話線回めぐって争いも

最近ウラジオストクの友人宅に電話が付いた。大喜びしたのもつかの間、1週間も経たないうちに彼らは引っ越したいと言い始めた。唯一親しかった隣人との関係が悪くなってしまったのだ。電話不足を解消するため、ロシアでは1本の回線に「親子電話装置」を取り付ける方法が普及している。電話番号は別々で、親子の一方が通話中のとき、もう一方の回線は全く不通状態になる。しかも現在の法律では、回線のもともとの加入者に予告もなく、電話局がペアの相手を勝手に選ぶことができる。

先に書いた友人宅の電話も、本来は隣のものである回線に親子電話装置を付けたものである。隣人の方は自宅の電話を別の件で利用する計画があったようで「電話をだまし取られた」と食ってかかってくるそうだ。

一方、ウラジオの古いホテルでは交換機を使わず、ほとんどの客室に電話を直接引いている。一つの組織にどれほど多くの電話回線を引けるかが、当時の組織の長のステータスだったようだ。例えば、ある合弁ホテルを建設するときに、交換機の便利さを説明してもロシア側がなかなか理解してくれなかったそうだ。今や客がほとんど泊らないホテルに電話線が余り、一般市民は1本の回線をめぐって争っているというのはなんとも皮肉な話である。

1997/02/16 JSN 田代雅章

※この記事は、新潟日報紙の「環日本海情報ライン」1997年02月掲載の記事を転載したものです。

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