1700個のダイアモンドを散りばめた金の携帯電話が約1億5000万円、高級車“Bugatti”は約1億6000万円、それとも23億円のヨットにしようかな?と悩めるのがモスクワの”ヌーボリッチ”達。現在、100万ドル以上の資産を持つ“ミリオネアー”は、 ロシア国内に8万8000人いて、さらにモスクワには資産10億ドル以上の “ビリオネアー”が25人いる(ニューヨークに次いで世界第二位)と米国の経済誌「フォーブス」は報じている。原油高で潤うロシアでは、富裕層の拡大が顕著になっている。
経済成長に伴う消費ブームに乗って、こういった贅沢な買い物が出来る人々をターゲットに、世界の名だたるブランドの見本市「ミリオネアー・フェア」が、10月末、モスクワ郊外の「クロクス・エキスポ・エキシビション・センター」で開催された。第2回となる今回は200社以上が出展し、入場者は約4万人で、昨年の1万5000人から倍以上に増え、売り上げ概算は635ミリオンドルとモスクワの通信社は伝えている。
出展商品は超高級車、宝石、ヨットに留まらず、19世紀の馬車、ヘリコプターやヨーロッパの高級邸宅、ギリシャ寺院、スペイン、キプロス、ブルガリア等の不動産にも人気が集まり、タイのある島の別荘3.16ミリオンドルは中でも特に人気が高かったそうだ。
「ミリオネアー・フェア」を見に来ていた何人かに話を聞いてみた。
ユリアさんとナタリアさんのお目当ては宝飾品だが、ユリアさんは「今モスクワではヨットが流行っているから実際に見てみたい」と言う。モスクワの通信社が10月末に配信した記事によると、米国製豪華ヨットの過去12ヶ月の売れ行きは、ある会社では昨年の5倍を記録、別の会社では178隻に上ったという。ナタリアさんは「私は旅行が好きで、年に3、4回休暇でヨーロッパやアフリカ等へ行く。日本へも母と一緒に行きたいとよく話している」と言う。
父親から入場券をもらったと言う大学生のビクトリアさんは、スイスの寄宿高校から帰省中の弟とおじいさんの3人で見に来ていた。ビクトリアさんは「一番気に入ったのは、約1億円のブレスレット。ヨーロッパを旅行するときいつも買っているスペインの宝飾ブランドの新作よ。このブランドはデザインが好きなの」と言う。弟のアルテムさんは超高級車“Bugatti” に興味をそそられた様子。おじいさんは寝室やバスルームの家具が良かったと言う。アルテムさんいわく、「こういうフェアは、実際に商品を見た後で、じっくり考えてから電話でオーダー出来るから、ビジネス方法としてとても良いと思う」。
事実ほとんどの人が、会場でカタログを見たり、担当者から詳しく話を聞いた後、電話等でオーダーして商品を購入しているようだ。 息子のベゲンチさんと一緒に来たクリャさんも「今日来たのは実物を見てカタログをもらうため。家に帰ってから決める」と言う。購入を検討しているのは高級馬と車だそうだ。
このミリオネアー・フェアは世界各地で開催されているが、次は12月7日から11日まで、3年前にこのイベントが発祥した地、アムステルダムでの開催となる。
(2006年11月)