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ロシア一般家庭の紹介

モスクワのメリレンコさん一家紹介

夫/イワン(37歳)プログラマー
妻/オクサーナ(32歳)銀行員
長女/マリーナ(5歳)

メリレンコ夫妻はモスクワに住んでいるが、生粋のモスクワっ子ではない。夫のイワンは10年前にドネツクから、妻のオクサーナは大学を卒業した7年前にハバロフスクからやってきた。

モスクワへ越して来た当初、オクサーナは前の夫と暮らしていた。極東のマガダン市で働いていた前夫の両親は、退職後年金生活に入るのを機に、モスクワ近郊へ引っ越すことにしたのだが、息子夫婦に近くで暮らしてほしいと願い、ふたりのためにモスクワに2部屋のアパートを買い与えた。

夫妻は喜んでこの提案を受け入れ、モスクワに引っ越し、当初はすべてがうまくいくように思えた。だが、夫婦仲はマリーナが生まれる頃から冷え込み、娘が1歳の時、離婚してしまった。

しかし夫の両親は、離婚の原因は、自分たちの息子が友人付き合いを優先させて家庭を顧みなかったことにあると考え、オクサーナと孫のために2部屋の新築アパートを買ってやった。彼らは今でも親しく付き合っていて、しばしば孫の顔を見に訪れている。

オクサーナは、今の夫のイワンとDIY(建築資材店)で知り合った。オクサーナが新居の内装資材を選ぶために(アパートの新築工事が終わるまで、彼女は別に部屋を借りていた)そこに来ていて、イワンもまた、家をリフォーム中だった友人の荷物を車で運んでやるために来ていた。

イワンは友人の買い物を待つ間に、フローリングの大きな見本棚を前に思案顔の彼女に目をとめて、何か手伝おうかと話し掛けた。会話が弾んで、イワンは、買い物を終えたオクサーナに、何かを運ぶといった手助けが必要なときにはいつでも声を掛けて、と電話番号を教えた。オクサーナにもイワンは好ましく写り、迷った末に、とうとう電話した。何度かカフェで会った後、オクサーナはイワンを、娘と前夫の両親に引き合わせた。イワンはまじめでよく気の利く人物だと、皆の気に入った。

知り合ってから一年後、イオクサーナとイワンは新居での暮らしを始めた。部屋が完成したのもイワンの助力あればこそである。マリーナはすぐにイワンパパに懐いた。ほどなくオクサーナとイワンは結婚した。式は挙げず、役所への届け出だけで済ませたが、オクサーナとイワンの両親、そして親友達が祝福に訪れた。

一家の収入は中のやや上、といった程度である。そこそこの収入があるとはいえ、モスクワでの生活費は、他の地域と比べ、格段に高くつく。プログラマーとして大手IT企業に勤めるイワンの月収は、勤続7年目の現在2000ドルで、優秀かつ迅速な仕事には、ボーナスも出る。

銀行で働くオクサーナの月収は、最初は800ドル前後だったが、顧客部門担当の今は1500ドルである。2ヶ月後に能力向上セミナーを受講予定であるが、修了後上司は2000ドルに昇給することを約束してくれた。
  メリレンコ一家は月々の収入の3割程度を貯金するよう努めている。残りは食費、生活必需品や公共料金(150-200ドル)、インターネット(600ルーブル)、ケーブルテレビ(1200ルーブル)、携帯電話、ガソリン、車のローン2台分(イワンもオクサーナも自分の車がある)、マリーナの幼稚園費、衣服代などに支出しているほか、それぞれの両親に、月々5000-1万ルーブルの仕送りをしている。

一家は今年の夏季休暇を黒海のリゾート地ソチで過ごすことにしていて、既にペンションを予約済みである。というのも、ロシアでは近年、海辺でのバカンスはますます人気で、夏前にはどこも満室になってしまうからだ。(2007年04月)

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