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ロシアで現代版ピオネール組織が復活へ

 10月29日、プーチン大統領が国営少年団「ロシア青少年運動」の設立に関する大統領令に署名したことが発表された。これにより、ロシアにソ連時代のピオネール団(共産党少年団)に似た児童教育組織が復活する見込みとなった。10月30日付でコメルサント紙が伝えた。
 ソ連時代のロシアには、9歳以上の子供が加入できる「全ロシアピオネール組織」という共産党少年団があり、奉仕活動やスポーツを行っていた。一部の子供たちは、エリートコースに乗って出世を遂げることもできた。ソ連解体後には「ピオネール組織同盟 児童組織連盟」という団体が全国の後継組織を取りまとめており、2000年代末時点で450万人以上が加入していた。(中略)
 より政治色の強い青少年組織としては、政権寄りの青年組織「共に歩む者たち」の運動が知られる。同組織はプーチン大統領が登場した2000年に結成され、2007年には政治組織「ナーシ」(“身内”)に改組されたが、その際に8〜15歳の子供を対象にした組織「ミーシキ」(“小熊たち”)も結成された。だが、ナーシ及びミーシキは2010年に解体された。(中略)
 政治学者らは、「現代の社会でこのような全体主義に特有の組織をつくるのは奇妙だ」、「ピオネールを復活させようにも、70〜80年代のピオネール団のように形式的なものに留まるだろう。既に当時でさえイデオロギーに染まった若者などは珍奇な存在で、頭が悪いか、あるいはシニカルな人間だとみなされていた。最近では愛国主義的な学校教科書が出回るなど、教育に政治を持ち込む動きはあるが、それも現場の教師によって実践に温度差がある」と指摘した。
 他方で、議員や教育関係者からは、「裕福でない家庭が子供をキャンプに送ったり、サークルに入れたりできる」、「コミュニケーションの経験を積めるまともな組織かもしれない。しかし国はやや出遅れたようだ。既に民族主義者や宗教セクトが子供たちの間で積極的に活動しているからだ」といった声も出ている(10月29日付Gazeta.ru、10月30日付ベドモスチ紙)。(後略)(10/30)
(週刊ボストーク通信1115号より)



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