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ロシアで食品禁輸の影響は続く:サーモンの高騰でスシバーが閉店、政府を訴える水産工場も

 サンクトペテルブルクを中心にスシバー「エブラジア」(“ユーラシア”)を展開するエブラジア・ホールディングが、モスクワで15店舗、ペテルブルクで10店舗を閉鎖した。外食市場の減速に加え、ロシアの食品禁輸により原料となるサーモンの相場が高騰したことが影響したと見られる。9月15日付でベドモスチ紙が伝えた。
 エブラジアは1974年生まれの実業家フルソフ氏が2001年に設立した外食企業で、同名のチェーンで日本料理の他にウズベク料理やメキシコ料理を提供している。平均客単価は約600ルーブル。2010年以降はペテルブルクで最大の日本食レストランチェーンとなっており、モスクワの店舗は今回閉鎖したが、他にもカザンやミンスク(ベラルーシ)に出店している。同社によれば、2014年現在、ペテルブルク(人口513万人)における常連顧客数は100万人を超えているという。(中略)
 エブラジアのフルソフ社長は、昨年9月には、2015年までに店舗数を200まで伸ばす意向を発表していた。今回の閉鎖は賃料が高い不採算店の整理が目的で、さらに多くの店舗が閉鎖される可能性があるという。また、ロシアの禁輸によりサーモンの価格が倍増し、900ルーブル/kgに達したことも経営を圧迫しているという。
 ペテルブルクでは昨年から外食市場が縮小の兆しを見せ始め、今年1〜7月の市場規模は前年同期比8.1%減の299億ルーブルだった。専門家は、外食の利用者数が減る中、原料価格が上がったからと言ってメニューを値上げするのは難しいと指摘する。(中略)
 他方で、隣接するノルウェーからの輸入原料に頼っていたムルマンスク水産コンビナートは、禁輸により原料の調達が止まり、操業を停止した。9月初めに同社は、活魚の輸入解禁を求めて最高裁判所にロシア政府を提訴した。同社は国内トップ10に入る大手水産加工会社で、工場はムルマンスク海洋漁業港にあり、年間生産能力は7万d。昨年、政府の補助金を受けて活魚の受け入れ・加工設備を導入し、ロシアで唯一の活魚加工工場となった。設備はノルウェー船の専用輸送タンクに合った規格のもので、今年はノルウェー船からマダラ、ハドック、セイス、シシャモ、ニシンを活のまま3万1000d買い付ける契約を結んでいた。禁輸により供給は止まり、ノルウェー船は販売先を他国に切り替えた。(後略) (9/18)
(週刊「ボストーク通信1061」号より)

 



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