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ロシアが穀物輸出を解禁:国際相場や信用が問題に

 7月1日、ロシアが昨年8月に導入した穀物の輸出禁止を解除した。干ばつによる不作に見舞われた昨年とは違い、今年は輸出可能な程度の収穫はあると見られている。同日付でLenta.ruが伝えた。
 農業省によれば、昨年のロシアの穀物収穫量は6090万dだったが、今年は8500万dの予測。国内需要は約7000万dであり、市場関係者らは1500〜2000万dを輸出に回すことができると見ている。ズプコフ第一副首相によれば、解禁初日だけで110万dの輸出通関手続きが行なわれたという。市場関係者は、7月全体の輸出量を150〜170万dと見ている。
  他方、昨年8月15日からの禁輸措置の導入が唐突だったため、ロシアは国際市場での信用を失っており、入札会に招待されないなどの問題も起きている。また、ロシアの穀物の最大の輸出先は中近東や北アフリカの比較的貧しい国となっているが、チュニジアやエジプトで起きた社会不安は、ロシアの禁輸措置により基礎的な食品物価が高騰したことも遠因であると見られている。他にも、ズプコフ第一副首相は6月に、3等及び4等小麦の価格が今年も高騰すれば、インフレを抑えるために穀物に輸出関税を課す可能性があると述べた。こうした国策の不透明感が、トレーダー企業がロシアの輸出ポテンシャルを生かすための障害となっている。
 また、最近数週間はロシアでも世界でも穀物の相場の下落が続いており、このままでは生産者がコスト割れになるとの懸念の声もある。(後略)


(週刊ボストーク通信903号より)




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