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ロシア商工会議所とJSNがビジネスセミナー開催:中小企業の対ロビジネスを支援

 6月17日、東京・品川の在日ロシア連邦通商代表部で、ロシア商工会議所と開SNの共催によるロシアビジネスセミナーが行なわれた。日本の企業や組織とざっくばらんな話をしたいという商工会議所の意向を受け、実務的な情報交換が行なわれた。約20名の小規模な集まりながら盛況となった。なお、当社開SNは2009年1月に商工会議所と業務提携契約を取り交わしている。

ロシア連邦商工会議所日本事務所のバシルチコフ所長

日本の中小企業の支援が任務

 セミナーの開会に先立ち、在日ロシア連邦通商代表部のセルゲイ・エゴロフ首席代表が挨拶した。同代表は、ロシアが経済近代化のために注力する通信・IT、原子力、医療、省エネの分野において、通商代表部は最高の支援を優先的に行なう用意があると述べた。
  セミナーで講演を行なったのは、日本事務所所長のエフゲニー・バシルチコフ氏。同氏は経済危機後のロシア経済の概況について説明し、現在ロシアで推進されている経済の近代化、外国投資の呼び込み、今年中の決着が期待されるWTO加盟など、ロシア進出のチャンスが拡大していることを指摘した。
 その一方で、日ロ関係はまだ非常に脆弱であり、ロシアに進出した日本企業は200社にとどまっていること、反対に日本に進出しているロシア企業も10数社しかないと指摘。企業進出が進まない要因について、公的機関の支援が大企業中心になりがちな傾向があり、中小企業は企業体力が弱く、一度の失敗が命取りになることもあることから、及び腰になっていると分析した。
  例えばロシアとドイツに関しては、ロシアに進出したドイツ企業が6000社、ドイツに進出したロシア企業が3000社あり、その背景には、両国の商工会議所が中小企業に対する手厚い支援を行なっていることを紹介した。
 バシルチコフ所長によれば、国家レベルのビジネスをサポートするのは通商代表部、民間のビジネスをサポートするのが商工会議所である。
 商工会議所にはロシアの企業約4万社が参加しており、データベースを通じたビジネスマッチングのサービスを利用することができる。最近10年間で世界100ヶ国の6000の企業が、商工会議所の支援を受けてロシア進出を果たしたという。

ビジネスマッチングから信用調査、GOST登録まで支援

 民間の非営利組織である商工会議所のビジネスマッチング支援の手段はいくつかある。モスクワなどで頻繁に開催されている国際展示会への参加に関しては、傘下の展示会運営会社エクスポツェントルがサポートする。
 パートナー探しでは、商工会議所の参加企業データベース「ビジネス情報統合リソース(http://www.ruschamber.net/irdi.php;英語版もあるが情報量は少ない)」で、企業名、業種、住所などの最低限の情報が公開されている。また、有料で特定分野のパートナーの紹介を依頼することも可能だ。他にも、ウェブ上でバーチャル展示会サイトが運営されている(英語版はhttp://www.ruschamber.com/?l=2#)。バシルチコフ氏によれば、日本の参加企業は残念ながら、これまでブリヂストン社の1社しかなかったが、同社にはロシアから140件ものコンタクトがあったという。
 また、セミナー参加者からは、日本の帝国データバンクの調査に相当するような企業情報サービスがロシアにはなく不便だとの声があったが、商工会議所で調査依頼を受け付けている。一例として、費用約1万5000円で2日間で簡易調査の結果が出たという。
 商品のGOST(国家規格)認証取得に関しては、傘下組織ソユーズパテントの支援を得ることができる。
 また、傘下に国際調停裁判所(サンクトペテルブルク)を持ち、ロシア側と係争が発生した場合にスムーズな処理を行なえる。

 日本でロシアのビジネス情報が不足していると認識されているのと同様に、ロシアでも日本企業に関する情報には偏りがあるという。日本事務所の規模こそ小さいが、ロシアの商工会議所は巨大なネットワークとデータベースを持っている。積極的な活用が待たれるところだ。

 また、セミナーの開催にあたり、欧州復興開発銀行(EBRD)ロシア極東アドバイザーの菅野哲夫氏に御協力頂いたことを付記し、この場を借りて感謝申し上げる。

(週刊ボストーク通信901号より)




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