JSNトップページ > ニュース記事

最新ニュース

露中が合弁でトラクター生産:生産現地化を進める意向

 ロシアの機械製造大手の公開型株式会社チャジェクス・ホールディングと中国の大手農機建機メーカーYTO Groupが、イワノボ州のレジネフ自動車製造工場で、同工場商標(LMZ)のトラクターの組立を開始する。計画では、2015年までに年間1万台の生産と、生産現地化60%を目指す。6月15日付でコメルサント紙が伝えた。
 チャジェクス社は、新製品の商標はLMZとし、組立のベースにはYTO Groupの組立部品を使う意向。ただし、この組立部品はライセンス上、伊フィアット社と英国のエンジン製造会社Perkinsの技術工程によっているため、同社では、2012年にエンジンの生産現地化を、その後も2015年まで段階的に60%を目標とした現地化を行なう予定だ。
  しかし、合弁は前途多難との指摘もある。ロシア農業機器製造者協会(ロスアグロマシ)によれば、昨年の国内ホイールトラクター市場は38.5%伸び、販売台数は2万900台だった。現在は「ミンスク・トラクター工場」が圧倒的なシェアを占め、特に120馬力以下のトラクター部門はほぼ独占状態だ。さらに、トラクター市場では近年大規模な外資参入が相次いでいる。なかでも米Deere & Companyが昨年、ドモジェドボでのコンバイン、トラクター、道路建設機器の組立生産に1億2000万jを投入した案件は最大規模。また昨年は、KamAZも、伊フィアット傘下のCNH Global N.V.との合弁による同様の事業に7000万jを投入、生産を開始した。
 こうした状況を鑑みると市場シェア拡大は困難だが、方法があるとすれば、生産現地化により15%のトラクター輸入関税を回避することだ。これは、同分野の国内産業保護を進める国の方針にも沿うもので、ロシア企業であれば、農機購入の際にローン補助プログラムなども受けられる。(6/15)

(週刊ボストーク通信901号より)




page top