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国後島の現地住民は海外企業の呼び込みに消極的

 今年2月、中国や韓国の水産会社が国後島への進出を検討していることが日本のマスコミで報じられたが(本誌886号に関連記事)、その後の現地情報によると、島民は海外企業との提携を必ずしも望んでいないという。5月3日付で現地情報筋が本誌編集部に伝えた。
  現地情報筋によると、国後島の水産関係者らは、外国企業と提携した場合には招聘する外国人の滞在管理等で発生する当局とのやり取りが負担になり、また、生産や販売における管理体制が変わることを嫌がっているという。これは、水産業者らが政治的な要因により当局と関わりを持ち、結果として、企業秘密が漏れることを避けているものと見ることができるという。
  他にも今年、中国人が国後島に農業に従事するために来ていたが、気候的な条件が合わず、農業はできないとして帰国したという。どのような形で働く予定だったのか詳細は不明だが、シベリアや極東の中国と国境を接している地域では、中国人労働者による農業は盛んに行なわれており、その延長線上で千島列島にも中国式農業が広まろうとしていたと考えることもできる。
 国後島の主要産業は水産だが、食品製造業と呼べるものは未発達なので、出漁する船に積む分も含め、食品の需要は常に高いという。食品や必要な物資は基本的にはサハリン本島から調達されている。また、ガソリンスタンドがなく、燃料は200?の缶でサハリン本島から買い付けられているので、自動車は90%が燃費のよい日本のディーゼル車だという。(5/3)

(週刊ダーリニ・ボストーク通信895号より抜粋)




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