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沿海地方の食肉市場:厳しい原料事情のなかで生産近代化を進めるメーカーたち 

 沿海地方は極東で最大の食肉の生産・消費市場であり、いくつものメーカーが自社製品をつくり、他の地域にも供給している。しかし全体として極東の食肉自給率は低く、国内の他の地域や輸入物の原料に依存し続けている。ロシア政府は国内の畜産業を育成するために近年は食肉の輸入枠を縮小する方向にあるが、もともと原料生産の基盤が弱い極東では単に原料相場が引き上げられているだけで、この先も原料事情の改善の期待は見込めないとされている。こうした中で各メーカーはブランド力を高めるために生産体制の近代化などの施策を進めている。沿海地方食肉市場の動きについて、3月1日付ゾロトイ・ログ紙の報道を中心にまとめた。


Sollersウラジオストク工場で組み立てられるSsangYong車 (JSN現地記者提供) ウラジオストクの市場で販売されている肉製品

国内畜産業の振興を進めるロシア
 
 ロシアでは1990年代後半から2000年代前半にかけて食肉の国内生産量が落ち、自給率が低下している。その後2000年代後半からは豚肉と特に鶏肉を中心に生産能力の増強が進められ、近年は数量が伸びてきている(下表)。
それに合わせ、2003年から導入されている食肉の輸入枠が縮小される事例が見られる。2009年末に承認された2010〜2012年の輸入枠は昨年11月に訂正され、今年分の鳥肉枠が60万dから35万dに減らされた。(本誌874号に関連記事)その結果、全体としては1410万dになっている(下表)。枠を超過する分の輸入品には高関税が課される。昨年は塩素処理をされた米国産鳥肉が9月まで輸入禁止となり、主要輸入先である米国からの供給が止まったロシアでは鳥肉が高騰した。また、11月には連邦消費者権利・福祉分野監督庁が「冷凍鳥肉の流通を禁止する」との意向を示し、加工業者などの大きな反発を招き変更となる騒ぎがあった(本誌873号に関連記事)。

出所:連邦統計局

ロシアの肉類輸入枠 2011年 (単位:1000d)

品名

数量

大型有角獣 生鮮・冷蔵

30

 うち、EU諸国

29

 その他

1

大型有角獣 冷凍

530

 うち、EU諸国

60

 米国

41.7

 その他

428.3

豚 生鮮・冷蔵・冷凍

472.1

 うち、EU諸国

225

 米国

57.5

 その他

189.6

豚くず肉(トリミング)

27.9

家禽 生鮮・冷蔵・冷凍

350

合計

1410

*割当量超える分については高関税が課される。

自給率の低い極東の食肉産業
 
  連邦統計局によれば、2009年にロシア国内で供給された肉及び肉製品約1000万dのうち、極東の占める割合は約5%の50万dに過ぎないが、自給率は全国平均の70%を大きく下回る26%である。極東最大の生産・消費地である沿海地方でも自給率はほぼ同水準となっている。(後略)

  (週刊ダーリニ・ボストーク通信888号より抜粋)




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