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シベリア鉄道コンテナ輸送の可能性−ブロックトレインの試験輸送−  

 3月2日、国交省中国地方整備局による「環日本海における物流高度化検討委員会」の第3回委員会が行なわれた。委員会で行なわれた報告の1つに、島根県浜田港からウラジオストク及びシベリア鉄道を経由してモスクワに貨物を試験輸送する事業の中間報告があった。ウラジオストクからシベリア鉄道での貨物輸送については、ロシアの在来線による従来の輸送の他にも、三井物産がロシア鉄道及び現地の輸送会社「ルースカヤ・トロイカ」と提携して実施している「ブロックトレイン」による急行貨物輸送サービス等があり、今回の試験輸送にも「ブロックトレイン」のサービスが利用された。国交省の中間報告資料を中心にシベリア鉄道による輸送の現状をまとめた。


Sollersウラジオストク工場で組み立てられるSsangYong車 (JSN現地記者提供) シベリア鉄道の終点に位置するウラジオストク港

発展途上のコンテナ輸送

 2010年のロシア鉄道の取扱貨物合計約12億dのうち、コンテナ貨物はわずか1.5%に当たる1810万dだった。ロシアの鉄道貨物は石炭や石油・石油製品が多くを占めており、これらの貨物だけで全体の半分近くになる(下表参照)。

品目

重量
(100万d)

比率
(%)

前年比
(%)

石炭

286.3

23.7

+3.9

石油・石油製品

252.7

21.0

+10.8

建築関連貨物

142.5

11.8

+11.2

鉄鉱石・マンガン鉱石

101.9

8.5

+6.8

金属類

72.7

6.0

+12.4

化学・鉱物肥料

45.4

3.8

+16.2

木材関連貨物

41.4

3.4

+2.1

産業用原料・成形用素材

36.8

3.1

+17.4

セメント

33.3

2.8

+14.3

化学製品・ソーダ

29.6

2.5

+16.3

有色鉱石・硫黄

25.3

2.1

+8.6

スクラップ

20.9

1.7

+26.5

コンテナ貨物

18.1

1.5

+18.2

コークス炭

12.5

1.0

+19.8

金属構造物

0.698

0.1

+17.1

合計

1205.8

100

+8.8

2010年のロシア鉄道の取扱貨物

 消費地であるモスクワに貨物を運ぶためには船便(スエズ運河及び地中海を通りサンクトペテルブルク等経由)よりもシベリア鉄道の方が短期間で輸送できるとされているが、インフラの問題等により貨物滞留の頻発が指摘されている。当社の貿易部でもロシア側のインポーターがシベリア鉄道経由でモスクワまで貨物輸送を行なったが、年末の港湾・鉄道渋滞及び年始の休暇に巻き込まれ、11月1日に横浜港を出て釜山経由でウラジオストクに向かった貨物がモスクワに着いたのは、1月末だった(ウラジオストクで賞味期限に不安のある商品を急遽抜き取ったため若干追加の遅延も生じたが)。船便でさえ順調なら50日ほどで着くとされているところを80日以上かかったわけで、年末年始に重なったという特別な事情があったとはいえ、非常に問題のある体制だということができる。

船便より最大19日早い

 今回国交省の試験輸送で利用されたのは、当社取引先が利用した在来線ではなく、モスクワまでの急行列車による「ブロックトレイン」輸送である。(後略)

(週刊ダーリニ・ボストーク通信887号より抜粋)




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