JSNトップページ > ニュース記事

最新ニュース

開発が進む北方領土:住環境改善と外資誘致の動き

 昨年11月のメドベージェフ大統領の国後島訪問後も次々とロシア政府の高官たちが北方領土を訪問し、その度に日本政府が遺憾の意を表明する状況が続いている。実効支配を強め開発を続けるロシアに対し、日本は硬直した反応を示すことしかできないように見える。ただしロシアの海外投資呼び込みのアピールも結果に結びつくかは不透明である。最近の現地の動きをまとめた。
Sollersウラジオストク工場で組み立てられるSsangYong車 (JSN現地記者提供)

北方領土を視察するセルジュコフ国防相(中央) 国後住民提供(2011年2月)

大統領全権代表もロシア側の立場を堅持
 
  2月21日、イシャエフ極東連邦管区大統領全権代表は「クリル諸島の発展のために、連邦政府とサハリン州の予算と海外投資の誘致により多額の資金の投入が継続される」と改めて強調した。領土問題に関しては「今日クリル諸島はロシアの管轄下にあり、わが国の領土だ。第二次世界大戦により全ては済んだ話だ」と断ずる。
  また、北方領土の開発については企業の参加を歓迎する旨を表明する。「私はロシアと仕事をしたがっている日本のビジネスマンを数多く知っている。ロシア極東のビジネスマンも日本との提携を心から希望している。サハリン開発では日本企業は石油やガスを採掘しても領土問題には誰も触れない。これはお互いにとって有益な経済的提携だ。クリル諸島も共同で開発することを提案する。2007年からはクリル諸島開発のための連邦特別プログラムが実施されており、既に80億ルーブルが消化され、この先まだ約100億ルーブルが予定されている。プログラムの期間延長も準備中だ。クリル諸島には炭化水素(石油や天然ガス)採掘のための前提条件があり、その他の地下資源や貴金属の採掘にも展望がある。生物資源加工も発展させなければならない。日本が来ないのなら他国が来るだろう。それは米国や中国かもしれないし、ブルネイやシンガポールやマレーシアかもしれない。いずれにしても来ることは来る」とイシャエフ氏は語っている(2月21日付極東連邦管区大統領全権代表部プレスリリース)。

「若き親衛隊」が拠点を開設
 
  日本の「北方領土の日」(2月7日)をめぐる両国の一連の騒ぎでは、ロシアでは与党「統一ロシア」の青年組織である「若き親衛隊」が極東やモスクワで抗議運動を行なった(本誌884号に関連記事)。その「若き親衛隊」は3月14〜20日に北方領土を訪問し、現地の生活や社会・経済面における変化についてのドキュメンタリーフィルムを撮影する予定であることを発表している。フィルムは「島ではどのような雰囲気が支配的であるか日本人が分かるように」撮影されるとのことで、撮影後は在ロ日本大使館を通じて日本政府に渡されるという。(後略)

(週刊ダーリニ・ボストーク通信886号より抜粋)




page top